ヴァイオリンでいい音を出すために弓はとっても重要です。
音色や音量に関わるため、楽器本体と同じくらい真剣に選ばないといけないですね。
ヴァイオリン初心者さんであればなおさら、自分の体に合った弓を使いましょう。
弾きやすい弓を使った方が、正しいフォームが身につきやすくなります。
とはいえ、どうやって弓を選んだらいいのか分からない方も多いと思います。
ヴァイオリンの弓について基礎知識(素材や名称など)
はじめに、ヴァイオリンの各部分の名称と役割について解説していきます。
棹(さお)
“スティック”とも呼ばれる木材などでできた部分。カーボン製のものもあります。
弓毛
弓毛は古くから馬のしっぽの毛が使われ、1本の弓にだいたい150~200本の毛が使用されています。
スクリュー(ネジ)
弓毛の張り具合を調節する部分。ねじをまわして調節します。
サムグリップ
ヴァイオリンそ構えた時に、親指があたる部分。
ラッピング
弓の人差し指が当たる場所を、摩耗から保護するために”巻き線”を巻いている部分。
また、巻き線を巻くことによって弓が持ちやすくなります。
フロッグ(毛箱)
棹の手元に取り付けられている、弓毛を固定している部分。
前後にスライドさせることで、弓毛の張力を調節できます。
見た目がカエルに似ていることから”フロッグ”と呼ばれています。
アイ
フロッグの装飾。白蝶貝(しろちょうがい)、アワビの貝殻などが使われます。
ヴァイオリンの弓は素材によって違う?
各部位の名称と役割はわかりましたか?
自分の弓を選ぶとなると、素材によって音質に違いがでるのか気になるところですよね。
ラッピングの素材(クジラのひげや金属線)
ラッピングに使われる巻き線は、昔からクジラのひげが使われていました。
現在では銀線・銀糸などの金属線やクジラのひげのイミテーションなどが用いられています。
素材によって音色にあまり差はないとされています。
なので持った時の感触や見た目などで気に入ったものを選んでみましょう。
棹(木の素材)
棹は材質で音質が大きく変わると言われています。
棹に最適な素材は「フェルナンブコ材」とされています。
ところがすごく希少な樹木なので、手に入りにくい素材でもあります。
そこで、フェルナンブコに似ている「ブラジルウッド材」も使われています。
強度や精度はフェルナンコブ材に劣りますが、低価格で手に入りやすいのがメリットです。
ただし弓の合う合わないは、基本的に作った職人さんの腕によります。
実際に使ってみて、自分に合ったものを選んでみてくださいね。
弓毛
弓毛に使われる馬のしっぽは、産地によって違いが出てきます。
産地はモンゴル、カナダ、シベリア、フランスなどがありますが、それぞれ毛の引っかかり方・なめらかさ・音色に差が出るのが特徴です。
モンゴル産のものがスタンダードで初心者におすすめです。
初心者向けヴァイオリンの弓の選び方
質の良い弓を買おうと思ったらなかなかの高額になります。
せっかく買うなら失敗したくないですよね。
予算を決める
弓の価格は手頃なものから高級品まで幅広い価格で販売されています。
ヴァイオリン初心者なら、どれにすれば良いか迷ってしまうはずですが、「ヴァイオリン本体の3分の1~半分くらいの値段」というのが一般的です。
あくまで目安でしかありませんが、ご自身が使っている楽器本体から大まかな予算を設定してみましょう。
素材を選ぶ
弓の素材は、なるべくならカーボン製ではなく木製の弓をおすすめします。
カーボン製は「低価格」「温度や湿度の影響を受けにくい」「壊れにくく長持ちする」といったメリットがあります。
しかし一方で、「音が硬い」「冷たい」「味がない」など、木製の弓と比べると音質が劣るとされています。
暖かみのある豊かな音色は木製ならではです。
カーボン製は普段の練習用や予備などに用意しておくといいでしょう。
重さが扱いやすいものを選ぶ
弓の重さも演奏技術に影響してきます。
同じ重さの弓でも、重量バランスによって重く感じたり、軽く感じたりします。
この重さの感覚は個人で違ってくるので、自分にあった重さの弓を選びましょう。
試奏してみる
購入する前には、必ず試奏をして決めてくださいね。
音色や重量バランス、引き心地・持ち心地など最終チェックをします。
迷ったら信頼できる人に選んでもらう
よく分からない・自信がない場合は、信頼できる楽器店やヴァイオリン教室の先生に選んでもらうのが安心です。
ヴァイオリンの弓はちゃんとメンテナンスしよう
ヴァイオリンを長く美しく保つためには、メンテナンスが欠かせません。
演奏した後は、弓をキレイに手入れしましょう。
弓の手入れのポイントは以下のとおりです。
布で拭く
弓毛は拭かないので注意してください。
棹の部分をやさしく乾拭きします。乾いた布で松脂や手垢をきれいに拭きとってください。
この時も布が弓毛に触れないよう気をつけましょう。
使う布は楽器用クロス、綿のガーゼやハンカチなど、毛羽立ちにくい素材の布であればOKです。
ティッシュやタオル地の布は避けてくださいね。
弓毛をゆるめる
弓毛はヴァイオリンを弾く時だけ張り、弾かないときはゆるめます。
常に弓毛を張ったままだと、弓の反りがなくなって音がでにくくなってしまうので注意しましょう。
半年〜1年くらいで弓毛の交換を
弓毛は天然の素材を使っているので、時間が経つと変化します。
弓毛が伸びてきたり、本数が減ってきたら音にも影響が出てくるでしょう。
演奏する頻度にもよりますが、おおむね半年から1年程度で弓毛を交換するのがおすすめです。
まとめ
ヴァイオリンの弓は、楽器本体と同じくらい重要だということが分かりましたね。
素材や作った職人さんによって、値段がピンからキリまであります。
ヴァイオリン初心者さんなら詳しい人の意見を参考にしましょう。
もしヴァイオリンを習っているなら、先生に選んでもらうのがおすすめです。