こんな疑問にお答えします。
グランドピアノってとりあえず値段が高いので気軽に買えない、という事情があります。さらに深刻なのはグランドピアノを置くスペースがなかったり、床や防音の設備を整える必要もあったり・・・本当に大変だと思います。
場合によっては、グランドピアノを導入することが物理的に無理な場合だってありますよね。
例えば音大出身でない先生とか、もしくは「専攻は管弦打楽器(or歌)なんだけど子供向けにピアノ教室も開きたいな」という方なら、アップライトで開講したい・・でもいいのかな?という感じだと思います。
そんな方でも、ピアノ教室をはじめることをあきらめてほしくない!という気持ちで執筆しました。
大丈夫です、今持っているものでさっそく自分のピアノ教室を作りましょう。
【先生向け】グランドピアノじゃなく、アップライトでピアノ教室開いてOK?
ほぼ結論を言ってしまったようなものですが、グランドピアノじゃなくアップライトピアノでもピアノ教室はできます。
実際にアップライトでレッスンをされている先生をたくさんみてきていますよ。
教室をはじめるためだけにグランドを買うのはおすすめしない
これはわりと固定観念かなと思っています。少なくとも、ピアノ教室をやるためだけにグランドピアノを購入する必要は今のところないのでは?
グランドピアノは楽器本体で安くても100万円ほどしますよね。
それだけでも高額ですが、その上に床板の補強工事で数十万かかります。
さらにグランドピアノになるとますます近隣への音の配慮が必要になるので、場合によっては防音室を作らなければいけない可能性もあるでしょう。グランドピアノが入れられる防音室というと少なくとも3畳〜になるので、やはり100万円以上は最低でもかかります。
こう考えると、ざっと見積もってグランドピアノ導入の相場は300万円〜といった感じ。
かなりハードルが高いですよね。
まずは小さくはじめて、軌道にのるならグランドを検討しよう
というわけで、ピアノ教室を始めるときに最初からグランドピアノを用意する必要はないと思っています。まずはアップライトでもいいので生徒さんを募集し、ある程度集まって経験も身についてからグランドピアノ導入を検討すればいいでしょう。
大きな失敗をしないためには、とにかく「小さく始めること」です。まずは持っているものだけでやってみて、うまくいくなら次の段階へ入っていくイメージで進めていきましょう。
あなたのことを求めてる人がいるかも。「社会貢献」と思って始めてみよう
「でも、本当にいいのかな?」
って決めきれないかもしれません。そんな時に考えていただきたいのが、「これは社会貢献だ」というマインド。
たとえば下記のとおり。
- ピアノを習いたいけど、近くに手頃な月謝の教室がない・・・
- 子供にピアノを触らせたいけど・・・別に立派なグランドピアノじゃなくていいのにな
- 色々体験レッスンに行ってみたけど、どの先生も性格がキツくて合わなそう(汗)
こんな風に困っている親御さんがいるかもしれないんですよね。
そんな人にとっては、あなたの開くピアノ教室がぴったりフィットするかもしれないんです。
本格的な肉じゃがの作り方を学びたい人には合わなくても、肉じゃがの作り方とか料理の基本的なイロハは教えられすはずです。
それと同じで、音楽の基礎をわかっているあなたならきっと「アップライトでもできること」がたくさんあるし、教えて欲しいという人もたくさんいるはずですよ。
なので人助けと思って気軽にやってみてはいかがですか?
スペースの関係でグランドピアノを入れられない場合はスタジオを利用すればいい
たとえば都内にお住いの先生なら、自宅のスペースってそんなに広くは取れないですよね・・・?
となると、物理的にグランドピアノを自宅に入れることが現実的じゃない場合があります。仮になんとかグランドピアノを部屋に入れられたとしても、ほんとにキュウキュウになってしまうことも。
これでは「人様を呼ぶなんてとても無理・・・」なんてことにもなりそうですよね。
こんな場合はいさぎよく諦めましょう。なにも自宅でレッスンしなくちゃいけないというわけでもないんですから。
ではどうするかというと、グランドピアノが入っている音楽スタジオを利用するという手があります。
画像:サウンドスタジオNOAH
料金のことがまず気になるかと思いますが、スタジオを借りる値段は地域によってまちまち。金額の相場としては1h/1,000〜2,000円という感じで、ここは生徒さんに負担してもらえばいいでしょう。
2時間以上続けて借りればお得なパック料金が適用される場合もあります。その場合はスタジオ代を自分で負担しておき、レッスン代を少し高めに設定することでそれぞれの生徒さんから場所代をいただく形がおすすめです。
都内の有名どころでおすすめな音楽スタジオは「サウンドスタジオNOAH」。グランドピアノはもちろんありますし、アップライトのリーズナブルなお部屋もあります。
施設は綺麗で清潔ですし、定期的に調律が入っているので音も問題ありません。
あくまで都内の例でしたが、ある程度都心部であれば同じようなスタジオは探せば見つかると思います。
スタジオレッスンのメリットは生活スペースを見られることがなく、住所を知られることもないということ。一人暮らしの女性の先生だったら男性の生徒さんをどうしても取りづらかったりしますが、スタジオでのレッスンなら気軽にできるのでおすすめですよ。
出張レッスンをメインにしてもいい
グランドピアノとかアップライトピアノとかの問題をいったん忘れて、出張レッスンをメインにする、という手もあります。
これなら極端な話、自分がピアノを持っていなくてもレッスンできます(笑)
有名な会社の会長さんのお宅で、住む世界が違ってましたね・・・
私の余談はさておき・・・出張するのは移動の手間がありますし、毎回違う環境でレッスンするのもやりにくいと最初は感じるかもしれませんが、とはいえ何事も慣れです。
出張レッスンは、生徒さんからすれば自宅に先生が来てくれるわけですからとっても楽ちん。
それは付加価値でもあるので、こちらが時間と手間をかける分レッスン料を多少お高く設定してもいいかもしれませんね。
先生サイドの疑問は解決できたでしょうか?
とにかく私個人の意見としては「無理してグランドピアノを自分で買うことはない」という結論でした。アップライトを持っているなら、それを使って今すぐピアノ教室を始めましょう!
さて、次は生徒さん側の疑問について。「ピアノ教室はグランドとアップライト、どっちを選ぶべき?」という問題についても見ていきたいと思います。
【生徒さん向け】教室選び、グランドとアップライトで迷ってますか?
という疑問も多いようなので、この記事であわせてお答えしていきます。
まず、レッスン料や教室までのアクセスが同じような条件だったとします。そこでグランドピアノとアップライトピアノだったら・・・どう考えてもグランドが良いことは当然ですよね。
なのであなたはきっと、「通いやすくてレッスン料が安い、けどピアノがアップライトなんだよなぁ」もしくは「立派なグランドピアノで、先生も信頼できそう。でも家から遠い…」と、こういった状況なのかなと思います。
もちろん細かい状況設定は人それぞれ違うので、教室選びで「絶対にこっちがいいよ!」というのは言えないのですが・・・
習い事は通いやすさ、続けやすさが重要
ピアノを実際に習い始めてみると、
「 以前から気になってたピアノ、いざやってみたら想像以上に難しくて心が折れそう・・・」
「子どもに通わせてみたら、あんまり好きじゃないみたいであまり練習しない・・・」
と、こんな状況になることがあります。想像と現実は違ったりすることがありますよね。
こういうケースに陥ると、レッスン代の負担や通いにくさの負担が気になってきます。最終的には長続きしないことが多いですね。
やはり教室選びは通いやすさと続けやすさを重視した方がいいでしょう。
最初はアップライトでも十分うまくなる
そもそも「アップライトか、それともグランドか」というのはある程度ピアノが弾けるようになってからの話な気もします。
鍵盤をタッチしたときの感覚や音の響きはたしかに大きく違いますが、基礎を身につけるならアップライトでも十分。
「発表会で憧れのグランドピアノに触れてテンション上がる」というのも一つの楽しみ方かもしれませんよ。
ただ、子供を音大に行かせたいならグランドピアノ一択
お子さんにピアノを習わせる目的が
「できれば音楽大学に行かせたい」
「将来はプロの演奏家になってほしい」
というものなら、迷わずグランドピアノを使った本格的なレッスンをしてくれる教室へ行きましょう。
子どもはスポンジのようにたくさんのことを吸収します。幼少のうちからできるだけ響く音に触れさせておくことで演奏家に必要な素養が育ちますし、早くからグランドピアノのタッチに慣れさせておくことも重要でしょう。
最終的に音楽の道に進んでくれるかどうかはお子さんが決めることですが、親としてはできるだけのことをしてあげたいものですよね。
グランドピアノとアップライトピアノの違いを簡単に解説
そもそもグランドピアノとアップライトピアノってどう違うの?という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。ざっくりいうと違いは以下の3点です。
- 大きさが違う
- 音の響きが違う
- 操作性が違う
大きさが違う
画像のとおり。圧倒的にグランドピアノの方が大きいですね。
グランドピアノの弦は水平方向になっていてゆったりとした作り。アップライトは弦を垂直方向になっていて、無駄なスペースを極力排除した感じ。
音の響きが違う
大きい分、音の響き方も違います。構造的にもグランドの方が音が遠くに飛びやすかったりする。
操作性が違う
左がアップライトの構造、右がグランドピアノの構想。下矢印が鍵盤で、ここを押すとテコの原理でハンマーが弦を叩く。
画像のとおり、右のグランドピアノの方はハンマーを叩くのが軽くて簡単です。
左側のアップライトの方は指で押す鍵盤とハンマー部分が遠いので、それだけ反応も悪くなります。そのぶん鍵盤を押すのに余計な力が必要になりますし、トリルやトレモロがあんまり速くできないというデメリットも。
その点でグランドピアノの方が操作性は良いということです。
もしもグランドピアノとアップライトピアノの違いについてもう少し詳しく知りたい場合は、下記のリンクから参考記事をみると便利です↓
教える方も習う方も、まずはアップライトからでOK!【楽しむのが大事】
というわけで今回はこれでおしまいです。
これからピアノ講師になろうとしている方へ。最初からグランドピアノを用意する必要はまったくないと思うので、現在持ち合わせているもので勝負してみましょう。
きちんとあなた自身のピアノ講師としての価値を伝えることができれば、かならず共感して習いたいと言ってきてくれる人が現れます。
まずはそういった生徒さんを集めて、自分の城を作ってみてはいかがですか?
教室探しをしている方へ。趣味やおけいこ程度であれば、ピアノはアップライトでも正直問題ないと思うので、まずは気軽にはじめてみましょう。
楽器より重視したいのは教室の通いやすさ、続けやすさ、先生との相性、教室の雰囲気などです。実際に体験や見学に行ってみて、魅力を感じる教室を素直に選んでみてはいかがですか?